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聖ペテルスブルクのパラドックス


 PDF |期待値

 人は生活の中で利害を考えて行動しなければならない。安売りなどの何割引や何パーセント引きなどを計算し、常に支出を低く、収入を多くを念頭に置かなければならない。確率が関わってくるときは、もらえるであろう利益、『期待値』を考える必要がある。

 期待値は宝くじなどを考えるときなんかに便利である。宝くじ一枚当たりの価値というのが期待値と考えても良い。宝くじにはジャンボ宝くじのような賞金高いが当たる確率が低いものもあれば、ロトのようなジャンボに比べれば賞金は低いが当たりやすいものもある。簡単に言えばこの場合、利益×確率というのが期待値である。この期待値の大小を選択の基準にするのが普通である。

 しかし、期待値に関する面白い逆説として「聖ペテルスブルクのパラドックス」というものがある。これは期待値で考えれば、絶対に参加したほうが良いゲームなのだが、実際に考えてみるとどうだろうと思ってしまうゲームである。

 これは次のようなゲームである。

1.勝負は確率1/2で勝敗が決まるゲームである。例えば半か長かのようなゲーム。
2.1回目は勝てば100円。負ければ0円で終了。
3.1回目に買ったら2回目を行い、勝てば倍の200円、負ければ100円で終了。
4.2回目に買ったら3回目を行い、勝てば倍の400円、負ければ200円で終了。
5.………

というように負けるまで、繰り返す。ポイントは勝てば次に負けれてもその分は確保できるというゲームである。さて、このゲームの期待値、つまりこのゲームの参加料の目安を考えてみよう。これは次のように考える。

100円もらえる確率 1回目に勝ち、2回目負ける 1/4
200円もらえる確率 1、2回目に勝ち、3回目に負ける 1/8
400円もらえる確率 1、2、3回目に勝ち、4回目に負ける 1/16
…… …… ……

 というわけで期待値を求めると、

(100×1/4)+(200×1/8)+(400×1/16)+……=25+25+25+……=∞

である。つまり、このゲームの期待値は無限大。ということはいくら払ってでもこのゲームに参加したほうがお徳という結果になる。しかし、実際このゲームに1億円で参加するかと問われれば首を傾げざるを得ない。これは人間が無限回のゲームを行うという無理な設定が問題を複雑にしている。